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 彼は朝起きてすぐ、世界に音がないことに気づいた。冷たい空気が、ずん、と根を張っていた。窓を開けると、すべてが雪に包まれていた。彼はしばらくそれに見とれていた。まるで死んでいるみたいだ、と彼は思った。

 一、二時間が経つと、それは変わり果ててしまった。雪かきをする人間の群れが、その神聖なる雪を掻き分け、醜い黒のアスファルトを露出させた。彼らの頬は紅潮し、そこに汗さえ伝っていた。彼はいてもたってもいられず、そこから逃げ出した。

 海が近づくと人気がなく、彼が起き抜けに見た景色が保たれていた。彼は、彼自身の居場所を見つけたと思った。彼はそのまま、かつて砂浜だった場所に向かった。辺り一面が白く、その先に海が見えた。

 彼はカッターナイフを取り出して、それを首筋にやった。静かに目を閉じ、切り裂くと、鮮血がほとばしった。彼は膝をつき、崩れ落ちた。白いキャンバスの上、彼の片側に、赤い翼が現れた。もう片方の翼はもはや現れる余地がなかった。彼は白目をむき、痙攣して、醜態を晒しながら死んだ。

 その日のうちに吹雪があって、それはなかったことになった。